所属: 東京大学宇宙線研究所 (教授)
現在の専門分野: ニュートリノ物理学。
スーパーカミオカンデによる宇宙ニュートリノの観測。
経歴:
1983年よりカミオカンデ実験に参加。
1987年には、超新星ニュートリノ観測に遭遇する。
1988年にカミオカンデに於ける太陽ニュートリノ観測にて博士号を取得。
1990年から1993年までドイツハンブルグにて電子陽子衝突実験(HERA)に参加。
1994年より
スーパーカミオカンデにおいて研究。
2014年4月-2022年3月 神岡宇宙素粒子研究施設長
2014年5月 スーパーカミオカンデ実験グループ代表
2022年4月-2024年3月 宇宙線研究所長
e-mail: nakahata_at_suketto.icrr.u-tokyo.ac.jp
スーパーカミオカンデ実験装置 スーパーカミオカンデは、岐阜県神岡町の地下1000mの場所に建設された直径40m、高さ42mの巨大な実験装置です。装置の内部には50000トンの超純水が蓄えられ、またタンク内面には11129本の高感度光検出器(光電子増倍管)が取り付けられてい ます。ニュートリノ反応によるチェレンコフ光を捕らえるのが実験装置の原理です。 |
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太陽ニュートリノの観測 太陽の中心では、熱核融合反応によりエネルギーが生まれていますが、その反応の際に多量のニュートリノが生まれます。スーパーカミオカンデでは一日約20個のニュートリノが観測されています。観測されたニュートリノの強度は標準太陽モデルが予測する値の約50%しかありませんでした が、それはニュートリノが質量を持ち、ニュートリノ振動によって他のニュートリノに変化していることが原因であることが分かっています。現在は、振動パラメータの 精密測定、ニュートリノ振動に与える物質効果など詳しいニュートリノ振動研究が行われています。 |
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超新星ニュートリノ カミオカンデ実験は、1987年2月23日に大マゼラン星雲でおき超新星爆発SN1987Aを世界で初めてニュートリノにより捕らえました。スーパーカミオカンデは、カミオカンデの15倍の感度を持ち、我々の銀河中心で超新星爆発が起きた場合には、8000現象 ものニュートリノ現象を捕らえることができます。 宇宙全体では毎年1億個もの星が超新星爆発を起こしてきています。これらから発せられたニュートリノ(超新星背景ニュートリノ とよばれる)の観測を目指して、スーパーカミオカンデにガドリニウム(Gd)が導入され、探索がおこなわれています。詳しくはこちら。 |
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大気ニュートリノによるニュートリノ質量の発見 宇宙から降り注ぐ宇宙線は、大気中で反応し、大気ニュートリノを発生します。スーパーカミオカンデは、大気ニュートリノを使って、ミューニュートリノがタウニュートリノに振動していることを発見しました。 最初に発見を発表したのは1998年でしたが、これによってニュートリノが質量を持つ ということが分かりました。現在は、多数の大気ニュートリノ事象を使って、ニュートリノ振動の詳細な研究が進められています。 |
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陽子崩壊の探索 力の大統一理論は陽子が崩壊することを予言しています。大統一理論の証明を目指して、スーパーカミオカンデでは、陽子崩壊を探しています。 |
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長基線ニュートリノ振動実験 東海村のJ-PARC加速器から大強度ニュートリノビームを飛ばし、 スーパーカミオカンデで捉える実験(T2K実験)が進行しています。T2K実験では第3のニュートリノ振動モードを捉えました。詳しくはこちら。 |
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宇宙の暗黒物質探索(XMASS実験) 数々の宇宙観測の結果から宇宙には「光はださないが重さを持つ粒子」(暗黒物質)が存在すると考えられています。しかし、その正体はまだ解明されていません。神岡の実験施設では液体キセノンを使った 暗黒物質探索実験(XMASS実験)が進められています。 |
連絡先e-mail: nakahata_at_suketto.icrr.u-tokyo.ac.jp