梶田隆章先生ノーベル賞受賞内容
梶田隆章先生が1998年にその現象を発見したことで、2015年のノーベル物理学賞受賞の理由にもなった
「ニュートリノ振動」についてご紹介します。
ニュートリノ質量の存在を示すニュートリノ振動の発見
長い間、ニュートリノの質量は「ゼロ」だと考えられていた
ニュートリノは素粒子の一種です。3種類あるニュートリノは非常に軽く、長い間その質量はゼロだと考えられていました。(ニュートリノ振動)を発見し、さらに2001年には、太陽ニュートリノの観測により、太陽ニュートリノ振動を発見しました。2011年には人工ニュートリノによって第3の振動モードも発見しました。ニュートリノの性質を解明することは、宇宙の初期に物質がどのように作られたかという謎に迫ることにつながります。
ニュートリノは電子の仲間。3 種類のニュートリノがある。電子、ミュー、タウは電荷を持つのに対して、ニュートリノは電荷を持たない。
ニュートリノ質量の存在を示すニュートリノ振動の発見
1998年、梶田隆章先生は大気ニュートリノの観測から、地球の裏側で作られて長い距離を飛んできたニュートリノの数が、検出器のすぐ真上から降ってくるニュートリノの数に比べて、約半分しかないことを発見しました。(ニュートリノ振動)を発見し、さらに2001年には、太陽ニュートリノの観測により、太陽ニュートリノ振動を発見しました。2011年には人工ニュートリノによって第3の振動モードも発見しました。ニュートリノの性質を解明することは、宇宙の初期に物質がどのように作られたかという謎に迫ることにつながります。
宇宙から降ってくる宇宙線が地球上の大気と衝突して大気ニュートリノが生まれる。ニュートリノはなんでもすり抜けるので、地球の裏側で生まれた大気ニュートリノが地球を通ってやってくる。
少なく見えていたのは、別の種類のニュートリノに変身していたから
これは、ニュートリノが飛んでいる間に別の種類のニュートリノに変身してしまう「ニュートリノ振動」という現象によるものでした。地球の裏側で生まれたミューニュートリノが地球内部を走っている間に、タウニュートリノに変身してしまったため、ミューニュートリノが減っているように見えていたのです。(ニュートリノ振動)を発見し、さらに2001年には、太陽ニュートリノの観測により、太陽ニュートリノ振動を発見しました。2011年には人工ニュートリノによって第3の振動モードも発見しました。ニュートリノの性質を解明することは、宇宙の初期に物質がどのように作られたかという謎に迫ることにつながります。
ニュートリノは飛んでいる間に別の種類のニュートリノに変身する。これをニュートリノ振動という。
この変身は、ニュートリノが質量を持っている証拠となった
ニュートリノ振動は、ニュートリノに質量があるときだけ起こる現象です。したがって、ニュートリノ振動の発見は、ニュートリノがゼロでない質量を持つという決定的な証拠となったのです。
この素粒子理論の定説を越える発見により、ノーベル物理学賞を受賞
大気ニュートリノ振動の発見は素粒子理論の定説を越え、新しい物理への扉を開きました。この成果が認められて2015年のノーベル賞受賞となりました。
- 1959年
- 埼玉県生まれ
- 1981年
- 学生としてカミオカンデに参加
- 1986年 3月
- 陽子崩壊の研究で博士号を取得
- 1986年 秋
- ニュートリノ振動の兆候に気づく
- 1988年
- 大気ニュートリノの最初の論文発表
- 1996年 4月
- スーパーカミオカンデ実験スタート
- 1998年
- ニュートリノ国際会議でニュートリノ振動の発見を発表
- 2008年 〜 2022年 3月
- 東京大学宇宙線研所長
東京大学宇宙線研究所前所長
梶田 隆章 教授
ニュートリノを知る