スーパーカミオカンデ観測開始から20年を迎えました

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2016年4月1日、スーパーカミオカンデは1996年4月1日に観測を開始してから20年目を迎えました。20年前の今日、共同実験者が実験場の地下坑内に集い当時の実験代表者である戸塚洋二先生とともに観測開始を祝いました(写真1)。写真2は、最初の公式データを取り始めた時の実験ログブックです。

1996年4月1日午前0時、当時の実験代表者である戸塚洋二先生がスーパーカミオカンデの運転を開始し、共同実験者が実験場の地下坑内に集い観測開始を祝いました。

1996年4月1日午前0時、最初の公式データを取り始めた時の実験ログブック。「Run1000 Started by Totsuka-san! It works!(戸塚さんがデータ取得を開始した!動いた!)」

この20年間には、いろいろなことがありました。1998年にスーパーカミオカンデは大気ニュートリノの観測によりニュートリノ振動を発見し、ニュートリノが質量を持つことを示しました。この成果は梶田隆章先生の2015年ノーベル物理学賞受賞に貢献しました。その後も2001年には太陽ニュートリノ振動発見、2004年には世界に先駆けて行われた長基線加速器ニュートリノ実験(K2K実験)によるニュートリノ振動の確認、2011年にはT2K実験による第3の振動モードの発見など、多くの成果をあげてきました。一方、2001年には約60%の光電子増倍管が破損してしまうという事故がありました。そのため2002年から2005年までは約半分の光電子増倍管で運転をしましたが、2006年に装置を完全復旧させ現在に至っています。このように長年スーパーカミオカンデを運転してこれましたことは、関係諸方々および国民の皆様のご理解とご協力の賜物です。この場をお借りして、深く御礼申し上げます。

スーパーカミオカンデはこれからも新たな発見に向けて観測を継続していきます。我々の銀河系で超新星爆発がおこれば何千もの事象が観測され、詳しい爆発メカニズムが解明されるはずです。また、装置を高度化することによって、宇宙の初めから起きてきた超新星爆発からのニュートリノもとらえようとしています。T2K実験ではニュートリノと反ニュートリノの違いを探ろうとしています。 今後ともご指導・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

2016年4月1日
スーパーカミオカンデ実験責任者
中畑雅行

 

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