スーパーカミオカンデ観測20周年記念シンポジウムと祝賀会が開催されました

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2016年6月17日(金)、富山市にてスーパーカミオカンデ観測20周年記念シンポジウムと祝賀会が東京大学宇宙線研究所の主催にて開催されました。この20年間の観測継続にご尽力いただいた関係者や共同研究者など約250名のご参加をいただきました。シンポジウムは東京大学宇宙線研究所梶田所長から20年間観測継続を支えていただいた方々へのお礼の言葉で始まりました。続いて小松弥生文部科学省研究振興局長、アメリカ合衆国エネルギー省Alan Stone氏代理のJames Stone教授からご挨拶をいただきました。その後は、スーパーカミオカンデ共同研究者らがこれまでの20年間のスーパーカミオカンデの研究成果を発表し、次の目標であるハイパーカミオカンデやスーパーカミオカンデのアップグレードの計画を発表しました。

スーパーカミオカンデ観測20周年記念シンポジウム会場
梶田所長が関係者に20年間の支援のお礼を述べました。

 

祝賀会では五神真東京大学総長の挨拶の後、ご来賓の都竹淳也飛騨市長、岡田安弘高エネルギー加速器研究機構理事からご祝辞をいただきました。その後もお世話になった関係者の方や、共同研究者たちから思い出話のスピーチなどがありました。

祝賀会の様子。荒船次郎東京大学名誉教授から乾杯のご挨拶を頂きました
共同実験代表者のJames Stone教授から中畑雅行教授へ友情のメダルが贈られました

 

観測開始から20年という節目に際し、スーパーカミオカンデ実験代表者の中畑雅行教授は、「これまでの20年間、スーパーカミオカンデはニュートリノ振動に関する数々の発見をし、素粒子物理学に大きく貢献してきました。これからもT2K実験のデータ増加などによって更なる素粒子物理学の進展が期待できるとともに、過去の超新星爆発からのニュートリノ観測を通して宇宙観測にも貢献できると思います。」と述べ、また共同代表者の1人であるヘンリー・ソーベル カリフォルニア大学アーバイン校教授は、「スーパーカミオカンデは、世界をリードする研究成果や受賞の栄誉を受けた発見を生み出しただけでなく、新しい世代の実験においてリーダーとなる博士号取得者を約70名輩出してきました。」と述べています。

 

【リンク】

►スーパーカミオカンデ観測から20年を迎えました

 

スーパーカミオカンデ観測20周年記念シンポジウムプログラム

2016年6月17日(金)15:00-17:00 ボルファートとやま

Opening addresses
梶田隆章 東京大学宇宙線研究所所長
小松弥生 文部科学省研究振興局長
James Stone on behalf of Alan Stone アメリカ合衆国エネルギー省 pdf
Scientific presentations
はじめに 中畑雅行(スーパーカミオカンデ実験代表者・
東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設)
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大気ニュートリノ振動の発見と進展 Edward Kearns(ボストン大学) pdf
太陽ニュートリノ振動の発見と進展 鈴木洋一郎(Kavli 数物連携宇宙研究機構) pdf
K2K実験とT2K実験 中家剛(京都大学) pdf
国際共同実験の成功 Christopher Walter(デューク大学) pdf
理論から見たスーパーカミオカンデ実験の意義 Alexei Smirnov(マックスプランク研究所) pdf
ハイパーカミオカンデ 塩澤眞人(東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設) pdf
スーパーカミオカンデ実験の将来 中畑雅行(東京大学宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設) pdf

スーパーカミオカンデ20年の歩み

1991.12 空洞掘削開始

飛騨片麻岩の硬い岩盤を掘り進む掘削作業

1994.6 空洞掘削完了、検出器の建設開始

直径40m,高さ58mの巨大空洞の壁面にステンレス板を取り付け、モジュール化された光電子増倍管を内壁に取り付けた

1996.1 検出器へ給水開始

給水中の検出器内部。体積5万トンのタンクを満たすのに2ヶ月かかります

1996.4 午前0:00観測開始。初代実験代表者である戸塚洋二教授が運転開始のボタンを押しました

坑内のコントロールルームで戸塚教授を囲む研究者

1998.6 大気ニュートリノ振動の発見

1999.1 朝日賞受賞

1999.6 K2K実験開始

2001.6 太陽ニュートリノ振動の発見

2001.7 光電子増倍管交換開始

2001.11 光電子増倍管の半数を破損する事故が発生。戸塚先生「我々は検出器を再建する。疑問の余地はない。」

2002.4 事故からの復活(部分再建作業開始)

2002.10 約半数の光電子増倍管で運転再開

約半数の光電子増倍管が取り付けられた検出器の内部

2002.12 小柴先生ノーベル物理学賞受賞

2004.6 K2K実験、スーパーカミオカンデで発見された大気ニュートリノ振動を確認

2004.7 大気ニュートリノ中の振動パターンの直接観測

2005.10 光電子増倍管の数を元に戻す完全再建作業開始

外水槽の反射シートを取り付ける様子

2006.7 完全再建作業完了、全ての光電子増倍管で観測再開

作業を終え、満水間近の検出器内部

2008.9 データ収集システムの一新

新しいデータ収集システム

2009.4 T2K実験開始

2010.6 SK-Gd計画に向けて実証実験開始

SK-Gd計画の実証実験のための200トンテストタンク

2011.6 T2K実験で電子ニュートリノ出現事象の発見

2012.7 スーパーカミオカンデで観測された陽子崩壊の寿命が1034年を超えた

2013.7 T2K実験で電子ニュートリノ出現事象の観測と測定

2015.11 Breakthrough賞受賞

2015.12 梶田教授ノーベル物理学賞受賞

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