ハイパーカミオカンデ用光センサーの準備が進んでいます
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ハイパーカミオカンデ検出器は、直径68m高さ72mの円筒形の水タンクの中に、光センサーを取り付けるフレームが設置され、内向きに直径50cmの光センサー、外向きに直径8cmの光センサーが取り付けられます。それぞれの光センサーの準備が進んでいます。
内向きに取り付ける光センサーは2種類の光センサーを併用します。一つは、スーパーカミオカンデで使用されている光センサーから、光検出効率、光量・時間測定精度、強度などの性能を約2倍向上させた新型光センサーです。2020年に製造が始まり、2024年11月までに1万本強が製造されました。完成した光センサーは、研究者が定期的に外観や品質を確認し、性能測定を行っています。
100本測定と呼んでいる試験では、100本の光センサーを暗室に並べ、センサーの電源を入れて出力される電気信号のチェックを行います。完全な暗室では、光センサーは安定な動作を続けるはずですが、長期測定を行うと非常に稀に不安定となり、不具合を生じる場合があります。取り付け前にそのような不具合がほぼ現れないことを事前に確認し、今後のハイパーカミオカンデの長期測定を実現しようとしています。
100本測定のタイムラプスはこちらをご覧ください。
もう一つは、「複眼」光センサーです。直径8cmの光センサーを19本を50cm径にまとめて使用することで詳細なイメージングが可能になります。イタリアやカナダ、ポーランド、チェコ、メキシコのグループにより開発が進められています。
2種類の光センサーを併用することで、検出精度の向上が期待されます。
一方、外水槽で使う直径8cmの光センサーは、イギリス、韓国、オーストラリアのグループが中心となって開発をしており、日本の研究者も協力しています。候補となる試作品の光センサーを暗室に設置して動作させ、光源を光らせたときの信号の応答や時間変化、ノイズの量などを測定しました。測定結果をふまえて、求められるデザインの最終決定を行います。