教員紹介

塩澤 真人教授

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専門分野

素粒子・宇宙線物理学実験

研究内容

スーパーカミオカンデという大型地下実験装置を用いて、素粒子の研究をしています。スーパーカミオカンデ装置は世界最大のニュートリノ・陽子崩壊実験です。これまで大気ニュートリノ振動の発見、太陽ニュートリノ振動の発見、 そして加速器ニュートリノを用いた第三の振動モードの発見など、 素粒子描像の変革をもたらす大きな成果をあげてきました。これらの成果は、ニュートリノが電子の100万分の1以下という桁違いに 小さな質量を持つ事、またその微小質量を生み出す 大統一理論の存在を示唆していると考えられています。一方で大統一理論の証拠を直接とらえることを目的に、スーパーカミオカンデでは 陽子の崩壊する現象を探し続けて来ています。理論の予言する領域に入り、 いつ陽子崩壊が見つかってもおかしくないところにきています。

またより高感度な実験装置ハイパーカミオカンデ実験の2027年開始を目指して、国際協力による建設に取り組んでいます。世界最高性能の実験装置を実現し、素粒子の統一理論の証拠をつかむことが夢です。

学生のみなさまへ

クォークとレプトンの統一は存在するのか、素粒子の力の大統一は存在するのか、 存在した場合どの様な対称性を持つのか、 ニュートリノの微小な質量はどのような機構で生まれるのか、クォークやレプトンの混合の起源は何か、宇宙の反物質が消えたこととニュートリノの性質の因果関係等々、 本当にたくさんの疑問が将来の研究課題として残されています。このような宇宙と素粒子の研究に一緒に挑戦する学生を歓迎します。その他質問等あれば気軽に問い合わせてください。実験施設の見学も歓迎します。

森山 茂栄教授

専門分野

宇宙素粒子物理学:ニュートリノ、暗黒物質直接検出、陽子崩壊探索、アクシオン等未知粒子・未発見現象の探索

研究内容

身の回りの物質は原子や分子で出来ていると学んできましたが、宇宙を見るとそれが間違っていることが知られています。天文学的な観測によって、宇宙を満たす物質の殆どは暗黒物質(ダークマター)呼ばれる未知の物質なのです。その未知の物質の正体を解き明かすことで、その背景にあるより大きな物理現象への扉を開くのが今我々に与えられた課題です。そのため本研究室では、暗黒物質が実験室に設置した装置で反応を起こす瞬間を直接検出する研究を進めています。具体的には、イタリアで実験が進められている国際的な研究グループに参加し、世界一の感度で発見を目指しています。(XENON実験 東大グループのページへ

ニュートリノと陽子崩壊の研究も本研究室の大きな研究テーマです。スーパーカミオカンデでの経験に基づき、その10倍ほども大きいハイパーカミオカンデの建設を現在進めています。ハイパーカミオカンデの建設を果たし観測を開始することによって、宇宙になぜ物質が存在するのかや、物質が長い時間の間に壊れてしまうのではないかといった深い疑問の答えに近づきたいのです。現在運転しているスーパーカミオカンデに参加してその準備等を進めています。

学生のみなさまへ

暗黒物質を直接捉えたい、自分自身で観測データの中にその証拠を見つけたい、世界中の研究者と協力して世界初の発見の醍醐味を味わいたいといった学生さんがおられたら是非暗黒物質の研究を一緒に取り組みましょう。観測を開始した2021年から約5年程度の観測を行う予定です。また、神岡においても、ニュートリノや陽子崩壊等の研究のため、スーパーカミオカンデを徹底的に理解して性能を最高度に発揮させて皆が見逃してきた信号を見つける研究も指導・応援いたします。少しでも心が動くことがあれば気軽に連絡をください。オンライン面談・見学等歓迎いたします。

早戸 良成教授

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専門分野

ニュートリノ実験(ニュートリノ・原子核散乱、ニュートリノ振動)
陽子崩壊探索実験

研究内容

  • スーパーカミオカンデ(SK)実験、T2K実験で大気ニュートリノや加速器ニュートリノ実験を主に用いてニュートリノの性質を理解するための研究を行っています。これらの研究は、ニュートリノが原子核中の核子や水素原子と反応して生成した粒子を観測することで行い、実際にはニュートリノが起こした反応の観測結果(データ)とシミュレーション結果を比較して行います。これらの研究の前提となる、ニュートリノと原子核の反応を正確に理解するための研究(T2K、Ninja実験など)や実験で用いるシミュレーションプログラム(NEUT)の開発も行っています。
  • 陽子は大きな質量を持つにもかかわらずその崩壊は観測されていません。一方で「大統一理論」は陽子崩壊の可能性を予言します。素粒子の謎と大統一理論の実験的検証のため、陽子崩壊の探索を行っています。
  • 実験においてデータを取得するには、センサーからの信号をデジタル化するエレクトロニクスと、デジタル化されたデータを記録するデータ収集システムが必要となります。現在はハイパーカミオカンデ(HK)実験用のシステム開発とSK実験用のシステムの改良を行っています。

学生のみなさまへ

現在、SKにはガドリニウムが導入され、中性子の検出感度が向上したことで、これまでとは違った新しい解析を行うことが可能となりました。ニュートリノ振動や陽子崩壊探索においても、新たな情報を最大限に活かしたデータ解析を始めています。特に新しい情報を活用するためにはニュートリノと原子核散乱や、水中での粒子の反応の理解をさらに深める必要があります。
また、HK実験も準備が着々と進んでおり、検出器の性能を最大限に発揮させるためのエレクトロニクスも量産開始直前となっています。今後数年は量産したエレクトロニクスの最適化や性能評価、較正を順次行い、検出器に取り付けてハイパーカミオカンデの物理解析につなげてゆきます。
学生の方は、これらのそれぞれのテーマについて、最先端でその研究や開発に携わることになります。

関谷 洋之准教授

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専門分野

宇宙ニュートリノ観測、暗黒物質探索、宇宙素粒子実験、検出器開発

研究内容

宇宙には無数の銀河や星が広がり、その背後にはニュートリノや暗黒物質が満ちています。これらの素粒子は、宇宙の誕生から未来に至るまで重要な役割を担い、素粒子物理学や宇宙物理学の「標準理論」を超えた謎を解く鍵でもあります。私たちの研究室では、宇宙の成り立ちや仕組みを明らかにするため、こうした宇宙素粒子を実験的に研究しています。

具体的には、超新星爆発や重力波を伴う天体からのニュートリノ探索、太陽ニュートリノを用いた研究、さらにはさまざまな暗黒物質候補の探索を行っています。特に現在注力しているのが、スーパーカミオカンデ(Super-Kamiokande, SK)にガドリニウム(Gd)を導入し、電子ニュートリノと反電子ニュートリノを識別できるようにしたSK-Gdを用いた研究です。これにより、過去の超新星爆発で放出され、宇宙に蓄積されてきた超新星背景ニュートリノを世界で初めて検出することを目指しています。この研究は、宇宙の歴史の解明だけでなく、私たちの体を構成する元素がどのように誕生し、進化してきたのかを知る手がかりにもなります。

さらに、ハイパーカミオカンデ(Hyper-Kamiokande, HK)の実現に向けた開発研究に加え、暗黒物質の検出を目指した新たな検出器技術の研究も進めています。また、ニュートリノ検出技術の鍵となる「水との反応」の詳細を明らかにするため、米国オークリッジ国立研究所での測定計画も進行中です。私たちは、自らの手で作り上げ、改良し、校正した検出器を用いて、新たな発見や観測、解析を行うことを大切にしています。

学生のみなさまへ

実験的研究を進めるうえで、新しいデータや結果を得ることは不可欠です。そのためには、既存の検出器を最大限に活用すること、そして誰も持っていない独自の検出器を生み出すことの両方が求められます。これは研究の規模や場面を問わず、常に必要とされる姿勢です。
こうした挑戦に向き合うには、神岡は非常に恵まれた環境です。修士の間は神岡へ通いながら、仲間と環境を楽しみつつ研究に取り組んでいただけると思います。少しでも興味があれば、ぜひ気軽にお問い合わせください。
自分で「面白い!」と思うことを見つけ、それを自分の手で実現できるよう、全力でサポートします。自らの手で宇宙の謎に迫る、この魅力的な研究に挑戦してみませんか?ぜひ一緒に、世界初の発見を目指しましょう!

中山 祥英准教授

専門分野

素粒子物理学実験、宇宙素粒子物理学実験

研究内容

私たちの宇宙が(反物質ではなく)物質だけでできている大きな謎を解明するため、そして宇宙がどのようにしていまの姿に進化したのかを調べるため、スーパーカミオカンデを使った実験でニュートリノの研究をしています。J-PARC大強度陽子加速器で作り出す人工のニュートリノビームと、地球大気や宇宙の天文現象で生まれる自然由来のニュートリノの両方を、測定・観測の対象としています。研究をさらに推進するために建設が始まったハイパーカミオカンデでは、世界最大の地下空洞と26万トンの検出器水槽を用意するグループを率いています。

学生のみなさまへ

スーパーカミオカンデでは、超純水に微量のガドリニウムを溶かして新たな物理に挑戦するSK-Gdプロジェクトがいよいよ本格的にスタートしました。SK-GdとT2Kニュートリノビームの組み合わせによって、ニュートリノCPV(物質・反物質非対称性)の検出感度を高めたり、超新星背景ニュートリノのバックグランドを低減したりといった、大きな発見に繋がる研究に挑戦できる良いタイミングだと思います。また、いよいよ建設が始まったハイパーカミオカンデでは、世界最先端の超巨大実験装置を自分たちのアイディアや研究開発によってさらに良いものにする、またとない機会を楽しむことができます。学生さんの目線に立って、楽しくやりがいを持って研究できる環境を、一緒に作っていければと考えています。

竹田 敦准教授

専門分野

実験素粒子物理学、ニュートリノ観測、暗黒物質探索

研究内容

太陽を含む天体からやってくるニュートリノや、暗黒物質探索について研究をしています。

ニュートリノについては、重い星が一生の最後に起こす超新星爆発に起源を持つものを対象にしてスーパーカミオカンデ(SK)や、現在建設中のハイパーカミオカンデ(HK)で検出することを目的としています。SK や HK では、とくに反電子ニュートリノが検出器中の陽子と反応する事象を利用した大統計での検出が期待されているのと、SK が SK-Gd にアップグレードされてからは、ニュートリノによる電子散乱の事象を抽出して、到来方向精度が大幅に改善されてきています。 また、液体キセノンを用いた暗黒物質探索検出器などでは、全種類のニュートリノに感度のある原子核とのコヒーレント弾性散乱を用いることで、SK や HK とは相補的な情報を得ることが期待されます。

暗黒物質は、私たちの身の回りにあるものを作り上げている「通常の物質」の5倍以上も存在することが、天文学的な様々な観測から分かってきている未知の物質です。暗黒物質を、イタリアにある XENONnT と呼ばれる液体キセノンを用いた検出器によって直接的に探索する研究を行っています。

学生のみなさまへ

素粒子実験において、優れた検出器を作りだす・開発をするというのは非常に大切な活動です。 そのような活動に自分が携わった検出器を用いてこれまで誰も見たことのない現象をとらえ、人類が宇宙の理解を進めることに貢献ができるというのは、とてもエキサイティングで貴重な経験になると思います。神岡施設には、そのような経験を積める環境が整っていると言うことができますので、少しでも興味がある方のご連絡をお待ちしております。

浅岡 陽一准教授

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専門分野

宇宙素粒子物理学実験:宇宙線直接観測、ハイパーカミオカンデ

研究内容

学部4年生で、最高エネルギーの加速器による素粒子実験を志したのですが、入った研究室では「宇宙における素粒子現象」を探求する、BESS気球実験に参加することになりました。その後、R&Dプロジェクトを経て、国際宇宙ステーションで高エネルギー宇宙線を直接観測するCALET実験に携わりました。この30年で宇宙線直接測定は精密実験となりましたが、BESS、CALETの成果もそれに大きく貢献しています。

実験的に正しい結果を得るためにはなにより「直接的に」測定することが重要、とひしひしと感じてきました。一方、高精度化した宇宙線観測には、素粒子物理学的な発見の余地が小さくなってきたと思います。素粒子物理学的な発見を目指すには、「素粒子現象」を直接的に測定するのがベストと考え、2020年よりハイパーカミオカンデ実験に参加しました。現在は、ハイパーカミオカンデ建設現場を指揮する立場で実験開始を目指しています。

ニュートリノビームを生成する加速器の増強と、スーパーカミオカンデの後継となるハイパーカミオカンデ検出器の建設を組み合わせたハイパーカミオカンデ計画は、素粒子の物理に織り込まれた定数を、最も直接的に測定する絶好の機会です。ニュートリノと反ニュートリノの対称性が最大限に近く破れているとすると、そのことは、現在宇宙を観測している我々が存在するための必要条件として、重要な役割を担ったことを意味しているのではないか、と想像しています。ハイパーカミオカンデによる発見と、それに続く素粒子物理の展開にワクワクしています。

学生のみなさまへ

ハイパーカミオカンデは2026年度後半から、山場であるPMT支持架構の建設と光電子増倍管や電子回路のインストールを開始します。世界中の共同研究者が集い、検出器の設置そのものだけでなく、個々のコンポーネントの組み立て調整やケーブリング、動作試験なども並行して行うことになります。研究者のマンパワーを有効活用するための綿密な計画立案やその最適化、マネージメントに興味はありませんか?世界的に注目を集めるハイパーカミオカンデで検出器建設の中枢を担う、こういう貢献・経験は、今の神岡でしかできない貴重なものになります。ビビッと来た人は是非ご連絡ください。一緒にハイパーカミオカンデの建設を完了し、初めての成果をつかみましょう。