Proton decay

素粒子物理の「標準模型」は「弱い相互作用」と 「電磁気相互作用」を統一したほか、「強い相互作用」 についてうまく説明することに成功していますが、 これら3つの力は統合されていません。 また、クォークとレプトンが、なぜともに3世代なのか、 陽子の電荷とレプトンの電荷の絶対値がなぜ完全に一致 しているのかなど、多くの謎が残されています。 クォークとレプトンの関係性を説明し、電弱相互作用と 強い相互作用を一つの枠組で説明する「大統一理論」が 提案されていますが、いまだ実験的な証拠がありません。 大統一理論が正しければ、クォーク3つからなる陽子が クォーク・反クォーク対であるメソンとレプトンに崩壊 することが可能となります。複数の大統一理論が 陽子が陽電子と中性π粒子に崩壊する可能性や、 K+と反ニュートリノに崩壊する可能性を予言しています。

陽子の電子と中性πへの
崩壊ダイアグラム
陽子の反ニュートリノとK+への
崩壊ダイアグラム
スーパーカミオカンデは稼働開始から20年以上が過ぎた 現在でも世界最高の感度を持つ検出器となっています。 この検出器で蓄積したデータを用いて、さまざまな 陽子崩壊のパターン(モード)について事象を探索し、 大統一理論の実験的な検証を目指しています。

陽子の電子と中性πへの崩壊の模式図 陽子の電子と中性πへの崩壊のイベント ディスプレイ(シミュレーション)
理論予想とこれまでの実験結果。
スーパーカミオカンデは稼働開始から20年以上が過ぎた 現在でも世界最高の感度を持つ検出器となっています。 この検出器で蓄積したデータを用いて、さまざまな 陽子崩壊のパターン(モード)について事象を探索し、 大統一理論の実験的な検証を目指しています。 陽子崩壊の背景事象(ノイズ)は、大気ニュートリノに より生成した粒子となります。このため、大気ニュー トリノの正確な理解が必要となります。 陽子崩壊探索に用いるシミュレーションや事象解析の ソフトウェアは、大気ニュートリノと共通のものが 大半です。このため、 大気ニュートリノの研究 を並行して行い、その理解を深めることで、陽子崩壊 の信号を正確にとらえることが可能となります。 現在、検出器の有効体積を広げることで、これまで 用いていなかったデータも利用したり、解析手法を さらに改良することで、陽子崩壊の探索効率を向上 したり、ノイズ除去を効率化して、 陽子崩壊を発見を目指しています。
2020年にはスーパーカミオカンデの水にガドリニウムが 添加される予定です。これにより、ニュートリノ・原子核 散乱時に生成する中性子が高い確率で観測できます。 一方、陽子崩壊時に中性子が放出される 可能性は低いため、中性子が観測されていない事象 を選択することで、ノイズとなる大気ニュートリノの事象 を効率的に除去することが可能なると期待されています。
ハイパーカミオカンデが稼働すれば、さらに長い 寿命範囲までの探索が可能となることが期待されて いますが、これまで以上に精密な解析も必要となり ます。すなわち、 スーパーカミオカンデにおける解析を精密化する ことが、ハイパーカミオカンデの準備にもつなが ります。