【論文紹介】季節変動によるダークマター探索 2019年2月18日

-私たちは秒速 230km の速さで ダークマターの海の中を駆け抜けている -

地球は太陽の周りを秒速30kmで周回していますが、それだけでなく、 太陽系自体も銀河の中心の周りを回っています。その速さは秒速 230km。私たちは銀河内に存在するダークマターの海の中を、音速を遥かに超える速さで駆け抜けているのです。

下の図を見てみてください。地球が受けるダークマターの風の速度は、地球の公転の向きによって影響を受けます。 つまり、季節によってダークマターの観測量に変化が見られるはずです。

地球はダークマターの風を受けていて、その風速は季節によって変化する。

XMASSグループは、2013年11月から 2016年7月に及ぶデータの解析を通じて季節変動によるダークマター探索を行いました。つまり年間を通してXMASS-I検出器の観測頻度に変動がないか調べたのです。

その結果、ダークマターを最も注目されている候補の一つである弱い相互作用をする大質量粒子 (WIMPs) であると仮定した場合、残念ながら発見には至りませんでしたが、唯一季節変動を観測したと主張している DAMA/LIBRA 実験(イタリア)の結果を世界で初めて同様な方法で検証しました。(図1)

図1:WIMPsの感度曲線。様々な検出器による結果も書かれている。黒太線(This work)が今回の結果。下に行くほど感度が良いことになる。

さらにダークマターのモデルを仮定しない場合でも、統計的に有意な信号はなく、季節変動を用いた観測頻度に対して最も厳しい制限を与えました。(図2)

図2:XMASSのデータ(黒丸)とイタリアのDAMA/LIBRA実験の結果(ピンク)