大気ニュートリノ中のタウ型ニュートリノ出現現象を確認

2013年5月3日

地球に雨の様に降り注ぐ陽子等の宇宙線は大気中の原子核と衝突して大量の電子型とミュー型ニュートリノを作ります。これらの「大気ニュートリノ」にはタウ型ニュートリノはほとんど含まれません。1998年にスーパーカミオカンデは、検出器上空から飛来するミュー型ニュートリノは予想通りの数が観測される一方で、地球の裏側の大気から長い距離を飛んでくるミュー型ニュートリノは予想の半分しか観測されないことを発表しました。これは素粒子の標準理論に反してニュートリノが微小な質量を持ち、ミュー型ニュートリノが、タウ型ニュートリノなど観測されにくい型のニュートリノに振動(変身して種類が変わること)していることの発見でした。

このたびスーパーカミオカンデでは、ミュー型ニュートリノは振動した結果、タウ型ニュートリノに変化(振動)していることを確認し(図参照)、Physical Review Letter(PRL)誌に論文を発表しました。タウ型ニュートリノは他のニュートリノに比べて反応が弱く、また反応してできたタウ粒子はすぐに他の素粒子に崩壊してしまうため、実験で検出するのが難しい粒子です。今回スーパーカミオカンデではこれまで10年以上観測を続けることで得られた大量の観測データと高度な解析アルゴリズムを用いて、タウ粒子を選び出しました。その結果、観測されたタウ粒子の数は予想数との比で1.42±0.35(統計誤差)+0.14-0.12(系統誤差)となりました。これは99.98%(3.8σ)の確からしさでタウ粒子(またはタウ型ニュートリノ)の出現を確認したことになります。

スーパーカミオカンデでは今後も観測を続け、タウ粒子のデータを増やして測定精度を上げると共に、タウ型ニュートリノの反応の研究も行っていく予定です。

 

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地球の裏側の大気から飛来するミュー型ニュートリノがタウ型ニュートリノに振動する様子


関連リンク

(1) PRLに出版された論文

(2) プレプリントサーバ(arXiv)に掲載された論文

 

 

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