施設長より新年のご挨拶

2022年1月1日

明けましておめでとうございます。日頃より皆様から寄せられておりますご支援に感謝いたしますとともに、新しい年が皆様にとって良い年でありますことを祈念致します。一昨年と昨年は「コロナ」に悩まされた年でした。本年こそは以前のように皆様と自由に交流できる年になることを願っています。

1996年にスタートしたスーパーカミオカンデ(SK)は昨年で25年目を迎えました。このように長い間走り続けている実験は世界でも珍しいものです。SKはその長い歴史の中で数多くの成果をあげてきました。1998年に発表した「大気ニュートリノによるニュートリノ振動の発見」に始まり、2001年には「太陽ニュートリノによるニュートリノ振動の発見」、2011年には「人工ニュートリノによる第3の振動の発見」といったように目立った成果が25年の歴史の中で多々生まれてきました。

一昨年の夏には50,000トンの超純水に0.01%の濃度でガドリニウム(Gd)という物質を導入し、広大な宇宙の観測をおこなうプロジェクトを開始しました。2022年度はその濃度を2~3倍に上げて、更に感度を向上させる予定です。このプロジェクトでは宇宙全体から来る超新星爆発にともなうニュートリノ(それを「超新星背景ニュートリノ」とよんでいます)をとらえようとしています。このニュートリノが捉えられれば、数十億光年離れた宇宙の遥かかなたから届いたニュートリノをとらえたことになります。観測には数年のデータが必要ですが、是非ともSKで超新星背景ニュートリノを捕まえたいと考えています。

昨年、新しい研究棟(「神岡総合研究棟」とよばれています)が東茂住の集落に建設されました。4階建てで総床面積約3,000平方メートルある大きな建物です。SKがスタートした次の年にあたる1997年に神岡宇宙素粒子研究施設の研究棟と宿泊棟が運用を始めました。当時現地に常駐していたスタッフは研究者、事務職員を合わせて12名でした。SKが数々の成果をあげてきたおかげで常駐スタッフの数は36名にまで増えました。今までの研究棟ではかなり窮屈になってきたため、文部科学省に新しい建物の建設を長年要求してきましたが、2019年度にその予算がやっと認められ、2020年春から約1年半の建設期間を経て神岡総合研究棟が建ちました。この建物には神岡の地下で宇宙・素粒子研究を行う多くの研究者が集い、議論できるように、オープンな研究スペースも用意されています。また、研究会や一般講演会が開ける大きなホールを有しており、コロナが明ければ賑やかな場所になることと思います。

ニュートリノ観測においては装置が大きければ大きいほど、より多くのニュートリノをとらえ、より精度の良い観測ができます。SKの約8倍の有効体積(観測に使える水の体積)を持つ「ハイパーカミオカンデ」(HK)の建設が進んでいます。昨年5月にアクセストンネルの掘削が始まりましたが、本年はそれが完了し、いよいよ本体空洞の掘削が始まります。HKは2027年に観測開始を目指しています。HKではJ-PARC(東海村にある大強度陽子加速器施設)からのニュートリノビームと反ニュートリノビームの振動の違い(「CP対称性の破れ」という)をみることによって、宇宙の物質優勢の謎を解き明かすことが期待されます。J-PARCからのニュートリノビームを用いたニュートリノ振動実験は、SKでビームを受けるT2K(Tokai to Kamioka)実験として2009年から進められてきていますが、CP対称性の破れの兆候が見え始めています。HKによって確実な証拠を掴めると考えられています。神岡での研究の始まりは、核子の崩壊を捉え、力の大統一理論を証明することでしたが、まだ核子崩壊は見つかっていません。HKでは発見できると期待しています。

このように2022年は神岡でのニュートリノ研究が更に躍進していく年です。そのためには引き続き皆様のご理解、ご支援が必要です。今後ともよろしくお願いいたします。

2022年 元旦
神岡宇宙素粒子研究施設長 中畑 雅行

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