施設長より新年のご挨拶

 明けましておめでとうございます。日頃より皆様から寄せられておりますご支援に感謝いたしますとともに、新しい年が皆様にとって良い年でありますことを祈念致します。

 1996年から観測を始めたスーパーカミオカンデ(SK)は、今年、23年目の運転に入ります。1998年に大気ニュートリノの観測によりニュートリノが振動することを発見し、その成果は2015年の梶田隆章先生のノーベル物理学賞として高く評価されました。その後も、2001年の太陽ニュートリノ振動の発見、2004年のK2K実験による人工ニュートリノによるニュートリノ振動の確認、2011年のT2K実験による第3の振動モードの発見等々、と多くの発見に恵まれました。今後もT2K実験の継続的な推進、大気・太陽ニュートリノの更なるデータによってニュートリノの性質の更なる解明に邁進していく所存です。

 二十数年間のSKの観測により、ニュートリノにまつわる素粒子物理学の研究を進めることができましたが、SKのもうひとつの目的である宇宙物理学の方面ではまだその能力が発揮できていません。もし、我々の銀河系で超新星爆発が起きれば何千ものニュートリノ事象が観測でき、爆発メカニズムの解明につながるはずですが、まだ超新星爆発が起きていません。昨年はカミオカンデ実験が世界で初めて超新星を捉えた1987年から30年目を迎えました。確率的におこる超新星爆発はいつ起きてもおかしくないのですが、気持ちとしてはそろそろ我々の装置が動いている間に起きてほしいもの思っています。

 しかし、待っていてばかりいても仕方がありません。宇宙の初めから宇宙の至るところで起きてきた超新星爆発がおきてきたはずであり、それにともなうニュートリノ(超新星背景ニュートリノとよんでいます)はいつでも我々の周りを飛び交っています。それを捉えることを目的として、SKに0.1%程度の濃度でガドリニウムという物質を溶かすことを計画しています。超新星背景ニュートリノがSKタンク内で反応すると陽電子の信号とともに中性子が生まれます。その中性子をガドリニウムが捕獲してガンマ線を発することを利用します。期待されるイベントは年間に数個程度ですが、陽電子の信号とガドリニウムからのガンマ線の信号がほぼ同時に起こるため、確実にイベントを捉えることができるようになります。実際にガドリニウムを溶かすのは来年以降になりますが、本年はそのための準備として、タンクを開けて止水補強工事を行う予定です。前回タンクを開けたのは2005年から2006年にかけてでしたので、約12年ぶりになります。その間に動作不良になった光電子増倍管の交換やタンク内の洗浄作業を行うことになります。

 神岡での研究の始まりは、核子の崩壊を捉え、力の大統一理論を証明することでした。しかし、カミオカンデ、その後のスーパーカミオカンデでもまだ核子崩壊は見つかっていません。それを捉えるにはもっと大きな装置が必要であり、スーパーカミオカンデよりも1桁大きい「ハイパーカミオカンデ」の建設を進めたいと考えております。ハイパーカミオカンデはJ-PARCからのニュートリノビームと反ニュートリノビームの振動の違いをみることによって、宇宙の物質優勢の謎も解き明かすことも目指しています。

 神岡の地下では宇宙に存在する暗黒物質の正体をさぐる実験も進めています。いつの日か暗黒物質の謎が解明されることを願っています。

 2018年はニュートリノや宇宙・素粒子研究の更なる進展に向けて、再スタートをきる年だと思われます。そのためには引き続き皆様のご理解、ご支援が必要です。今後ともよろしくお願いいたします。

2018年元旦
施設長 中畑雅行

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