【論文紹介】スーパーカミオカンデで2つの核子が同時に崩壊する現象を探す

スーパーカミオカンデ実験グループは、2つの核子が同時に崩壊する現象を探索した結果について論文を発表しました。

核子とは?

ものを細かく分けていくと、分子、さらに細かくすると、原子になり、原子はさらに原子核と電子に分けられ、原子核は陽子と中性子からできています。

dinucleon decay mode

核子というのは、その陽子と中性子のことを言います。

陽子や中性子などの核子は、さらに細かくクォークに分けることが出来ます。クォークは物質の最小単位で、素粒子と呼ばれます。

核子が壊れると宇宙の進化の謎がとけるかもしれない

素粒子のふるまいを説明する標準理論では、核子は核子以外のもっと軽い粒子に壊れることはないとされています。核子は私達を形作っている粒子なので、そう簡単に壊れてしまっては困るのです。 しかし、ある理論においては、まれに核子が壊れることが予想されます。

宇宙誕生のころ、宇宙には、物質と反物質(物質と反対の性質をもつもの)が同じ数だけあったと考えられます。物質と反物質は出会うとお互いに消えてしまう性質があります。しかし、現在の宇宙には、私達が存在し物質は多く見られるのに、反物質はほとんど存在しません。なぜこのアンバランスが生じたのか、この謎を説明する理論を多くの研究者が研究しています。

ある理論によれば、核子は永遠に壊れないものではなくある長さの寿命を持っていて、いつか壊れるとされています。特に2つの核子が同時に壊れることを予言する理論が注目されています。つまり、2つの核子の崩壊を探すことは、宇宙の進化の理論を検証することになります。

今回の論文

スーパーカミオカンデ実験装置は、5万トンの水が入った円筒形の水タンクです。したがって、タンクの水中には多数の水の核子が存在しています。今回の論文では、この水の中の酸素原子中の核子が2つ同時に壊れる、という現象を探しました。

2つの核子が同時に壊れるとき、パイ粒子と呼ばれる粒子が放出されます。そのパイ粒子やパイ粒子の崩壊から生まれる粒子が放出するチェレンコフ光を観測することで、核子崩壊の現象をとらえます。図は崩壊モードの一例です。

dinucleon decay mode

スーパーカミオカンデの約13年分のデータからこの現象を探した結果、残念ながら候補となる事象は見つかりませんでした。 しかし、2つの核子が同時に壊れる現象の3つの崩壊モード対して、7.3x1031年以上、1.70x1032年以上、4.04x1032年以上という寿命の下限値が得られました。これは、これまで別の実験で得られた寿命の制限値よりも100倍程度厳しい制限を与えたことになります。

この論文は、Physical Review Dにおいて発表され、重要な論文として”Editor’s Suggestion”に選ばれました。

 

► 発表された論文 [pdf]

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