太陽ニュートリノの昼夜強度変化の兆候

2014年3月20日

太陽の中心では核融合反応によって電子型ニュートリノが生まれていますが、地球へ到来する間に「ニュートリノ振動」とよばれる現象によってミュー型/タウ型ニュートリノに変化してしまいます。電子型ニュートリノとミュー型/タウ型ニュートリノとでは反応の強度が異なるために、地球で太陽ニュートリノを観測するとあたかもその強度が減ってしまっているかのようにみえます。

このたび、スーパーカミオカンデ(SK)において1996年から16年間かけて取得されてきたデータによって、夜間と昼間とで強度に違いがあるという兆候をつかみ、Physical Review Letter(PRL)誌に論文を発表しました。論文は高く評価されPRL誌の”Editor's Suggestion”にも選ばれました。これはニュートリノ振動が物質によって影響を受けること(「物質効果」)を直接的に捉えた世界で初めての観測です。

太陽ニュートリノが地球表面にたどり着いた時には、電子型ニュートリノの割合が約32%となり、残りの68%はミュー型/タウ型ニュートリノになっています。夜間は地球を通り抜けてSKへ飛んでくるため、地球の「物質効果」によってミュー型/タウ型ニュートリノの一部が電子ニュートリノに「復活」します(下図参照)。そのため、夜間は太陽ニュートリノが増えているように観測されます。昼間と夜間の強度に違いはわずか3%程度でしたが、世界最大の太陽ニュートリノ検出器であるSKは、その観測に成功しました。

ニュートリノ振動の研究は飛躍的に進展してきており、将来は「ハイパーカミオカンデ」計画などによって「宇宙にはなぜ物質はあるが反物質がないのか」といった疑問に答えを出そうとしています。そうした将来計画において、ニュートリノ振動の「物質効果」は確立していなければならなかった要素であり、今回の論文はそれに寄与する研究成果でした。SKでの太陽ニュートリノ観測は今後もいっそう精度を向上させ、エネルギースペクトルの形を使った物質効果の検証なども行っていく予定です。

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Physical Review Letters誌に出版された論文

プレプリントサーバ(arXiv)に掲載された論文

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