大気ニュートリノ

大気ニュートリノとは

大気ニュートリノとは、宇宙から地球に降り注ぐ宇宙線(主に陽子)が 大気中の原子核と衝突した結果できるパイ中間子やミュー粒子の崩壊から 生じるニュートリノのことであり、電子ニュートリノとミューニュートリノの2種類が生成されます(図1参照)。

図1:宇宙線が大気に衝突し、大気ニュートリノができる。

図2は地球全体に宇宙線が降り注いでいる様子を表します。大気ニュートリノ は世界中の大気中でできた後、地球を簡単に通過し、スーパーカミオカンデ検出器 まで到達します。従ってスーパーカミオカンデでは、様々な距離の大気から飛来する ミューニュートリノと電子ニュートリノを観測することができます。この広い範囲 にわたる飛行距離が、次に説明する発見につながることになります。

図2:大気ニュートリノは地球全体で作られる。

研究結果

スーパーカミオカンデ実験では、1998年に、地球の裏側から飛来する(つまり 上向きに飛んでくる)ミューニュートリノが理論の期待値の半分程度に減っている 結果を発表しました(図3)。これは、ミューニュートリノが長い距離 (地球の裏側からの場合12800km)を移動する間に、他の種類のニュートリノ であるタウニュートリノに変身し、観測されることなくすり抜けていることで うまく説明できます。ニュートリノが飛行中に別の種類のニュートリノに変化するこの現象は、「ニュートリノ振動」と呼ばれます。ミューニュートリノが 振動しているこという発見は、ニュートリノがゼロでない質量を持っている ことを示し、ニュートリノは質量を持たないとした素粒子の標準理論の拡張をせまる実験結果として、世界中の物理学者の注目を集めました。

図3:ミューニュートリノの方向分布。上向きのニュートリノが期待値の約半分しか観測されなかった。

2004年には、さらに詳しい解析により、ニュートリノが減少した後、また増加するという、ニュートリノ振動に特徴的な「ニュートリノが波打つことの直接観測」に成功し、ニュートリノ振動の証拠がより確実なものとなりました。

図4: 飛行距離(L)/エネルギー(E)に対するミューニュートリノの到達確率

今後更にデータを集めることにより、ミューニュートリノ振動の測定精度を あげることが期待されています。また、電子ニュートリノもわずかな振動をしていると 期待されており、その測定を目指しています。

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