水の純化装置

神岡鉱山内では水は豊富で、検出器の近くにもきれいな水の流れがあり、大量に使用できる。この水を汲上げ純化装置内を循環させる。この純化装置の目的は:

  1. 水の透明度を可能な限り高く保つ。
     水中の小さな砂塵、鉄、ニッケル、コバルトのような金属イオン、バクテリアなどが
     除去される。
  2. 主にラドン(Rn)、ラジウム(Ra)、トリウム(Th)などの放射性物質を除去する。
     特に、ラドンは太陽ニュートリノの解析にとって深刻なバックグラウンドで ある。
図1:水の純化装置

図1に水の純化装置を示す。この装置は以下のような要素より成る、

  • 1ミクロンフィルター:比較的大きなごみ(1000分の1ミリメートル程度)を取り除く。
  • 熱交換器:ポンプやPMTで生ずる熱により水温が上昇する。 水温が上昇すると、暗電流の増加や水槽内の対流、バクテリアの繁殖などが起こる。それらを防ぐため、0.1℃の精度で水温をコントロールし、 14℃程度に保たれている。
  • イオン交換樹脂:水中の金属イオン(Fe2+,Ni2+など)の除去のため。
  • 紫外線照射装置:紫外線を照射してバクテリアを死滅させる。
  • 無ラドン空気溶解システム:下流の真空だっ気装置のラドンガス除去効率を上げるため、ラドンを含まない空気を純水に溶解させる。
  • 逆浸透膜:高性能の浸透膜を用いてろ過を行う。分子量が1100程度の有機化合物なども除去できる。
  • 真空脱気装置:水中に溶けているガスを除去するため。酸素約99%、ラドン約96%を除去できる。
  • カートリッジ式イオン交換樹脂:高性能イオン交換樹脂で、イオンを99%除去することができる。
  • ウルトラ濾過器(UF):数ナノメートル(100万分の1ミリメートル)の微小砂塵を除去することができる。図2はウルトラ濾過器の入口と出口で 採取した水の電気抵抗を示している。これは化学的限界値である と比較され得る
  • 膜脱気:水中に溶けたラドンや酸素を除去する。
図2:ウルトラ濾過器の入口および出口で採取した水の電気抵抗の変動。
図3にウルトラ濾過器(UF)通過後の粒子数を示す。そこから水は検出器に返される。UFに入った水の 10%が取り除かれるが、それは次のような装置を経由して再び純化装置の循環経路に入れられる(図1に点線で示した)。
図3:いろいろな大きさの粒子の数の時間変動。
水は検出器のタンクの上面からポンプで汲上げられ、純化装置通過後底面へ返される。流量は1時間当り約60トン。このシステムにより、水中のラドン濃度は10-3Bq/m3まで減らすことができ、純水中の光の減衰長は80m~90mと十分な透過率が得られる。