検出器の中での太陽ニュートリノ相互作用

スーパーカミオカンデでは、
太陽ニュートリノはニュートリノと電子の反応を通して測定される;

(1)
この相互作用を用いる実験の利点は次のような情報が得られることである
1.入射ニュートリノの方向
 (反跳電子はニュートリノとほぼ同じ方向に出てくるので)、

2.入射ニュートリノの正確な到来時間、そして

3.入射ニュートリノのエネルギースペクトルを反映する反跳電子のエネルギー分布。
式(1)の散乱の断面積は標準電弱理論によって計算でき、
その微分断面積は 以下のように表わされる。
(2)
ここではそれぞれフェルミ結合定数、電子の質量、入射ニュートリノのエネルギー、そして反跳電子の運動エネルギーである。パラメータA0,B0およびC0
のように定義される。ここにθwはワインバーグ(Weinberg)角である。式(2)の
微分断面積にかかっている係数は
 
 
(3)
また、式(1)における単ループの電弱およびQCD(量子色力学)の輻射補正を考慮した。更に、QED(量子電磁力学)の輻射補正も考慮した。これらの補正によって反跳電子を観測できる確率がわずかに減少する。Sin2θw=0,2317とすれば、その減少は約4%である。
輻射補正を考慮し、ニュートリノエネルギーの関数としての断面積を図1に示す。この断面積は、電子の運動エネルギーに関して0から最大値、、まで式(2)を積分することによって算出される。ここにに対して運動学上制限を受ける;
(4)
図で見られるように、 が10MeV(からの太陽ニュートリノの典型的エネルギー)のとき、電子によるニュートリノ散乱の断面積は:
(5)

(6)
となる。 の断面積の違いは、の散乱は中性カレントを通してのみ行われるのに対して、一方 は中性および荷電両カレントが関与するためである。の断面積はの断面積のおよそ6倍である。
図1:と電子の相互作用の断面積。
横軸は入射ニュートリノのエネルギー。
太陽ニュートリノの散乱によって跳ねられた電子のエネルギー分布は、
(7)
となる。ここにφ(は地球における太陽ニュートリノのエネルギースペクトル、は太陽ニュートリノの最大エネルギー。図2は とhep太陽ニュートリノのみを考慮した場合の反跳電子のエネルギー分布である。
図2:およびhep太陽ニュートリノの散乱による
反跳電子のエネルギースペクトル。
入射ニュートリノの方向から測った反跳電子の角度θは、
(8)
で与えられる。そのとき、反跳電子の角分布は、
(9)
を計算して求まる。 図3は反跳電子の全エネルギーが0、5、7、10MeV以上の場合における反跳電子の角分布を示す。図から分かるように、電子検出の閾エネルギーが5MeVならば、電子の散乱角は20°以下である。 もっと高い閾エネルギーでは、角分布は更に強く前方に集中する。分布の68%を含む角度で定義された分散値は、全エネルギーが5、7、10MeV 以上の電子に対して、それぞれ12.3°、9.1°、5.7°となる。
図3:入射太陽ニュートリノから測った反跳電子の角分布。
図中で"ALL"はおよびhepの標準太陽モデルでのスペクトルを
意味する。