エレクトロニクスとデータ取得

本節ではデータ取得システムの概要が述べられる。詳しい説明はAppendix Aにある。また、外部検出器に関しては 次節に英文による記述がある。

PMTからの信号はATM(Analog Timing Module)と呼ばれる前処理モジュールに送られる。全部で934のATMモジュールが用いられている。12個のPMTからの信号が1つのATMモジュールで処理される。もし信号が約0.32p.e.相当の閾値を超えたら、方形パルス(幅200nse、高さ11mV)が発生する。これをHITSUM信号と呼んでいる。ATMモジュールでは、PMT信号の時間と電荷もデジタル化される。HITSUM信号は合計されデータ取得のトリガーに使われる。合計された信号はトリガーの閾値を決定する波高弁別回路を通される。トリガー閾値は320mVにセットされている。それは約29個のPMT信号に相当し、チェレンコフ光を出す電子のエネルギーとしては近似的に56MeVに当る。すなわち、任意の200nsecの時間窓内に29個のPMTから信号があったら、全体のトリガー信号が発生することを意味する。トリガー頻度は約11Hzであり、図1に示されるように、運転期間中ずっと安定であった。トリガー効率は 他節で述べられる。
(実際には現在のトリガー閾値は、データ取得システムと水純化装置の改良に伴ってどんどん低くなっている。)

ATMモジュールからのデジタルデータはデータ取得用の8台のオンライン計算機に送られる。これらのデータは FDDI経由でオンラインホスト計算機に転送され、それから光ケーブルを通って、鉱山外にあるオフライン計算機に送られる。データは10分間毎に送られ、10分間に対応するファイルの大きさは約 70MByteである。オフラインホスト計算機は全てのデータを磁気テープライブラリーに蓄え、ADCおよび TDCの(電荷および時間の)データをそれぞれ光電子(p.e.)およびナノ秒(nano-second)単位のデータに変換して、予備のデータ解析のため複数の解析用計算機に分配する。

図1:スーパーカミオカンデのトリガー頻度の経時変化。