水中チェレンコフ光イメージ検出器

チェレンコフ光とは

スーパーカミオカンデは水中チェレンコフ光のイメージを捕らえる装置である。荷電粒子が媒質中を通過する際、荷電粒子の速度が、媒質中での光速を超えたときにチェレンコフ光が放出される。


図1:チェレンコフ光発生のイメージ図

 

高速で走る荷電粒子は、周囲の電磁場と荷電粒子の間を光子が飛び交っている。真空中では、荷電粒子の速度は光速よりも遅い(v<c、cは真空中の光の速度)が、媒質中では、光の速度はc/n (nは媒質の屈折率)となるため、荷電粒子の速度が光の速度を超えることができ(v>c/n)、光子が荷電粒子に追い付かず、振り落とされて光が放出される。

 

チェレンコフ光は、荷電粒子の進行方向に対して、角度θで円錐状に放出される。
放出角度は、
 (β=v/c, vは荷電粒子の速度)
と表され、水の場合は屈折率が1.33であるから、チェレンコフ光の放出角度は42度となる。
-1≤cosθ≤1より、v≥c/nとなる。

 

チェレンコフ光が放出される下限の荷電粒子のエネルギー(エネルギー閾値)は、β=1/nのときに対応し、次のように表せる。

粒子 エネルギー閾値 [MeV]
e± 0.775
μ± 160.3
π± 211.7

 (mは荷電粒子の質量)

水の屈折率1.33を用いると、各粒子のエネルギー閾値は右表のようになる。

 

電荷Zの荷電粒子が、屈折率nの媒質中を進んだときに、単位長さあたり放出される波長λのチェレンコフ光の光子数は、次のように書ける。

α=1/137(微細構造定数)。これを波長について積分すると、

上の式に、スーパーカミオカンデの光電子増倍管の有感波長領域300nm~600nm、θ=42度、Z=1を代入すると、荷電粒子が1cm進むと、約340個の光子が発生することがわかる。

 

スーパーカミオカンデでのチェレンコフ光検出方法


図2:スーパーカミオカンデでは、チェレンコフ光
のリングの像を光電子増倍管で検出する

チェレンコフ光は、発生点から荷電粒子がエネルギーを失うまで放射される。したがって、スーパーカミオカンデ検出器のタンクの壁面に設置された光電子増倍管では、リング状の光の像が検出される。リングの形状、光を検出した時間情報や検出した光子数などから、粒子のエネルギー、種類、発生点、進行方向などの情報を得ることができる。

 


図3:スーパーカミオカンデで検出される
チェレンコフリングの例。内水槽の展開図

 

図3にスーパーカミオカンデで検出されるチェレンコフリングの例を示す。水タンクの展開図で、小さい丸が光を検出した各光電子増倍管からの信号を表す。エネルギー20MeVの電子が放出するチェレンコフ光のシミュレーションである。

 

 

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