光電子増倍管の相対的利得

各PMTの高電圧は皆同一の利得が得られるように設定される。各PMTには、浜松ホトニクス社によって生産直後に3つの方法で決められた標準高電圧値が提供されている。3つの方法とは、直流光源、キセノン(Xe)光源による出力信号の測定、そして1p.e.(光電子)の出力分布である。しかし、浜松の較正装置が長期間に変動している可能性があり、その場合に利得の系統的な誤差が生まれているかもしれないので、 スーパーカミオカンデでも独自に全PMTの再較正を行なった。

 

相対的利得は図1に示される装置で測定された。Xeランプの光は紫外線濾過器を通り光ファイバーによってシンチレータボールに照射される。シンチレータボールはBBOTシンチレータ(波長変換材)とMgO 粉末を混合したアクリル球である。このBBOTシンチレータは紫外光を吸収し、チェレンコフ光に近い波長の光を放出する。MgO粉末はボールの中で光を拡散させるのに使われる。図1のように、照射する紫外光の強度はモニターシステムによって監視され、出力の一つがトリガーに使われる。

 

このシステムでは、各PMT信号の補正された電荷が他のPMTと等しくなるように高電圧値が設定される。ここに補正された電荷とは水中での光の減衰、受光立体角、シンチレータボールの非一様性に関して補正された信号波高を意味している。それは更にXeモニターの波高で規格化されている。この測定はシンチレータボールをタンク内のいろいろな場所に移動し、また高電圧値も変えて、行なわれる。図2は調整後の全てのPMTの補正電荷分布を表している。相対的利得の分散は7%である。このまだ残っている違いは後にソフトウェアで補正される。

図1:相対的利得の測定システム。
図2:相対的利得の較正後の全PMTの補正電荷分布。