素粒子物理のフロンティア

大気ニュートリノ問題

図1

大気ニュートリノとは、陽子などの宇宙線が大気中で反応を起こし、その際生ずるニュートリノを指す。その種類は電子型とミュー型の2種類で、反応過程から成分比は約1:2であると理論的に予想される(左上図)。しかしカミオカンデの研究グループは、観測結果の成分比が大きく予想からずれていることを1988年に示した。これは、ある種類のニュートリノが別の種類に変化する「ニュートリノ振動」が起きている可能性を示唆するものであった。もしニュートリノ振動が起きているなら、飛来する距離の違いから方向分布で振動の様子がわかるはずである(図2)。
 

図2

図3

1992年にカミオカンデは、エネルギーの高い領域の大気ニュートリノを解析し、成分比の異常は地球の裏側から飛来する上向きの事象に顕著に見られるという結果を発表した(図3)。この結果がスーパーカミオカンデの「ニュートリノ質量発見」へと発展していった。
 

陽子崩壊

図4

陽子は崩壊するか? ----- 神岡実験の口火を切ったのはこの疑問である。物質を構成する陽子が崩壊するか否かは宇宙の運命を左右する問題である。陽子崩壊は、粒子に作用する基本的な力のうち、電磁気力、弱い力、強い力を統一的に扱う大統一理論によって予言されている。カミオカンデでは、3000トンもの水の中にある多量の陽子を用いて、陽子崩壊を探索した。発見には至らなかったが、少なくとも陽子の寿命は上図の場合2.6x1032年以上であり、最も単純な大統一理論のモデルは否定された。
 

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