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スーパーカミオカンデ (SUPER-KAMIOKANDE)
研究目的1.ニュートリノ宇宙物理学 太陽や超新星爆発、ビッグバン直後の超高温の宇宙は謎の素粒子ニュートリノを大量に作っていると考えられています。また、地球大気につっこんでくる一次宇宙線は大気中の酸素や窒素と核反応を起こしてニュートリノを作り出します。これらのニュートリノを精度良く観測して、太陽や超新星爆発のエネルギー源を解明したり、今持って謎に包まれているニュートリノの特性を研究します。
2.大統一理論の実験的検証 素粒子に働く力は、強い力、電磁力、弱い力、重力の4種類が知られています。電磁力と弱い力を統一して理解する電弱理論は既に確立されています。素粒子物理学の次のステップとして電弱力と強い力を更に統一する大統一理論が考えられています。大統一理論は、万物の基本的構成粒子である陽子(水素の原子核)がいずれは崩壊して無くなってしまうこと、また、バクテリアほどの重さを持つ素粒子モノポールが宇宙に存在することを予言しています。陽子崩壊の瞬間を探したり、宇宙にモノポールを探すなどして、大統一理論の実験的検証を目指しています。
3.暗黒物質の探索 宇宙には、電波や光では観測することができない暗黒物質が水素や酸素などの普通の物質量に比べて10倍以上も存在すると言われています。ニュートリノの観測を通して、暗黒物質の正体に迫ります。
研究成果
太陽のエネルギー源が水素の核融合反応であることを検証すると共に、ニュートリノが太陽の中心から地球までの飛来する間に受ける高温、高密度物質の影響や長い飛行距離の影響を調べて、ニュートリノの特性に関する知見を得ます。 太陽ニュートリノの観測は20年来アメリカのR. Davisによって行われてきました。その結果は、太陽ニュートリノの観測数が理論予想の30%しかないというもので、この不一致が本当かどうか、別の観測手段によって更に研究する必要がありました。このため、当初は陽子崩壊探索用に作られたカミオカンデを太陽ニュートリノ観測用に改造して、1987年より観測に入りました。スーパーカミオカンデではカミオカンデでの経験をいかして、太陽ニュートリノの精密観測を開始しました。
スーパーカミオカンデでは、巨大な体積を活かして、すでに300日の観測で、4,400例の太陽ニュートリノを観測しました。これは、2,000日以上に及ぶカミオカンデの観測の7倍以上です。 スーパーカミオカンデの観測データを集計すると、ニュートリノの観測数は理論予想の37%しかありません。Davisが20年来主張していた太陽ニュートリノの欠損はやはり本当でした。しかし、理論との不一致を示す数値は両者で異なっており、太陽のエネルギー発生の理論は単純に変更することによって、この不一致を説明することはできません。 この結果を、SAGE及びGALLEXと呼ばれる観測グループの結果と共に総合して考えると、ニュートリノ欠損の問題は太陽物理学の問題ではなく、むしろニュートリノ振動によって引き起こされている可能性が強ようです。今後スーパーカミオカンデによる精密な観測結果が待たれています。 もし、太陽ニュートリノの問題が、ニュートリノ振動によって引き起こされているとすると、ある場合には、夜と昼の太陽ニュートリノの数が違うということが理論的に予告されています。昼と夜の太陽ニュートリノの強度を比較しましたが、有意な差はありませんでした。
大気ニュートリノとは、陽子などの宇宙線が大気と衝突して生成されるニュートリノで、その種類は電子ニュートリノとミューニュートリノの2種類があります。 これらの成分比 (R=ミューニュートリノ / 電子ニュートリノ)は、生成過程からおよそ2と予想されますが、ニュートリノに質量が存在すると、ニュートリノの種類が変化するニュートリノ振動と呼ばれる現象が起こると考えられています。もしこの現象が起こっていると、観測された成分比ももはや2ではなくなります。また、ニュートリノ振動はニュートリノの飛行距離によるため、天頂角方向によって観測される数が異なる可能性があります。実際、スーパーカミオカンデの前に行われていたカミオカンデによる観測では、成分比は2ではなく、むしろ1に近く、またエネルギーが1.3GeV以上では成分比が天頂角によって異なるという、ニュートリノ振動を支持する驚くべき結果が得られました。 そこでスーパーカミオカンデでは、カミオカンデの20倍者統計量を活かして大気ニュートリノを精密に観測することにより、ニュートリノ振動を検証します。
スーパーカミオカンデ535日分のデータ解析で、エネルギーが100MeV(1億電子ボルト)から1.3GeV(13億電子ボルト)の成分比を調べた結果、成分比は2という予想値に対して1.2となりました。これはカミオカンデの結果と良く一致しています。 1.3GeV以上というエネルギーの高い領域で成分比を調べたところ、電子がシミュレーションの予想とあっているのに対して、ミューオンの上向き事象が下向き事象の約半分しか観測されませんでした。これは地球の反対側からやってくるミューニュートリノがタウニュートリノに振動していると考えられます。 これらの結果からニュートリノに質量が存在していることが明らかになり、ミューニュートリノとタウニュートリノ間のニュートリノ振動のパラメータは図の領域のみが許される結果となりました。
Figure0.1: スーパーカミオカンデにおいて観測された天頂角分布。左上から1.3GeV以下(Sub-GeV)の電子、ミューオン、1.3GeV以上(Multi-GeV)の電子、ミューオンを示す。横軸は全て天頂角でcosθ= +1 が下向きを表す。図中の斜線のヒストグラムはニュートリノ振動を仮定しないとき、点線のヒストグラムはニュートリノ振動を仮定したときの予想値である。Sub-GeV、Multi-GeV ともミューオン事象の上向き事象が下向きに比べて明らかに少なくシミュレーションと合わないが、ニュートリノ振動を仮定するとこの現象がよく説明できる。
Figure 0.2: 大気ニュートリノのデータを解析して得られたミューニュートリノとタウニュートリノ間のニュートリノ振動パラメータの許容領域。横軸 sin2 2θのθはνμ と νγ との混合角、縦軸は νμ の質量と νγ の質量の2乗を示す。実線(点線)の領域の内側が90%(99%)の信頼度で許される。
陽子崩壊の研究
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revised on 2000/03/22 webmaster@suketto.icrr.u-tokyo.ac.jp |