施設長より

神岡宇宙素粒子研究施設長
中畑雅行

東京大学宇宙線研究所附属神岡宇宙素粒子研究施設は、岐阜県北端の飛騨市にあり、富山駅から南へ30km、神岡市街地から北へ15kmの場所にあります。本施設はスーパーカミオカンデ実験(SK)の推進を目的として1995年に設立されました。現在では、地下を利用して宇宙・素粒子研究を行う共同利用・共同研究拠点として、SKのみならず他の実験にも利用されています。池の山(標高1369m)の山頂直下1000mの場所にはいくつもの実験施設を備え、神岡町東茂住には研究棟と共同利用者用の宿泊棟があります。

SKは5万トンの純水を用いた大型ニュートリノ検出器であり、1996年に運転を開始しました。1998年には大気ニュートリノの観測により「ニュートリノ振動」を発見し、ニュートリノが質量を持つことを明らかにしました。この成果によって梶田隆章教授が2015年にノーベル物理学賞を受賞しました。また、2001年にはSKとカナダのSNO実験の結果を比較することによって太陽ニュートリノの振動を発見しました。そして、1999年から2004年にかけて行われたK2K実験(KEKの陽子加速器からSKへ向けてニュートリノを飛ばす実験)では人工的に作ったニュートリノを使い、ニュートリノ振動を確認しました。さらに、2009年からスタートしたT2K実験(東海村J-PARC施設からSKへニュートリノを飛ばす実験)においては、第3のニュートリノ振動モードを2011年に発見しました。SKは観測開始から20年以上になりますが、いまでも世界をリードする研究を続けています。

SKは総勢約150名が参加する国際共同実験ですが、その半数近くが外国の大学・研究機関からの研究者です。米国、カナダ、韓国、中国、スペイン、ポーランド、イギリス、イタリア、フランスの研究者が参加しています。

SKが地下に置かれている理由は、宇宙線によるバックグラウンドを避けるためです。地表では手のひらサイズの面積に1秒間に1個の宇宙線が降ってきますが、SK実験場では10万分の1にまで宇宙線が減ります。こうした「静かな」場所は、稀にしかおきない現象を探すのに適しています。

そうした環境を活かし、当施設では液体キセノンを用いた暗黒物質探索実験(XMASS実験)も進められています。宇宙の物質・エネルギーの27%は「暗黒物質」とよばれる正体不明の物質が担っており、それは我々が知っている普通の物質の5~6倍の量に相当します。暗黒物質の有力な候補は何らかの素粒子であると考えられていますが、それが地下深くまで飛んできて実験装置内で反応する事象を探しています。また、二重ベータ崩壊によりニュートリノの質量を測定しようとする実験、そして、方向に感度を持った暗黒物質探索に向けた開発研究なども共同利用研究として進められています。そのほか、地殻の歪を検出するレーザー伸縮計、超伝導重力計を用いた地震や地球物理学の研究なども行われています。

このように神岡宇宙素粒子研究施設では、地下の低バックグラウンド環境を活かして、最先端の研究が行われています。

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