最先端の素粒子物理学

 

 

 

1. はじめに

2. 素粒子の発見

3. 素粒子物理学の展開

4. 最先端の素粒子実験

5. 素粒子的宇宙像へ

6. 21世紀への期待

 

 




 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.はじめに

 20世紀の驚異的発展は科学技術の急速な進歩によって可能となった。物理学は科学技術の基礎となる原理の発見によってこの進歩に本質的な貢献をした。X線の発見、超伝導の発見、トランジスターの発明、原子力エネルギーの発見などがすぐ思い浮かぶ。このような発見は、極微の原子世界を支配している法則である量子力学や、光速に近い速さで動く粒子の運動を記述する相対性理論という、19世紀には想像もできなかった基礎的概念の進歩があって初めて可能になった。

 素粒子とは物質を作っている基本粒子である。素粒子の種類、特性や相互の反応を調べる学問を素粒子物理学という。そこは量子力学と相対性理論が同時に支配している極限の世界である。素粒子の概念は歴史とともに変わってきたが、現在でもその探究は続いている。

 わが岐阜県は奥飛騨の神岡町にあるニュートリノ観測装置スーパーカミオカンデは、5万トンの純水を使った世界最大の素粒子観測装置だが、昨年ニュートリノに質量があることを発見して素粒子物理学関係者に衝撃を与えた。一般的に素粒子物理学は加速器という大型の装置を使うビッグサイエンスである。スーパーカミオカンデの特徴は、この高価な加速器を使わず、自然現象の精密な解析を通して新しい発見を成し遂げたことにある。この手法は1950年以前の宇宙線研究の手法にハイテクを導入したもので、21世紀における研究手法の先駆けをなすものと云える。

 昨今若者の理科離れが心配されている。しかし、我々を作っている物質、さらに宇宙の成り立ちを支配している基本法則を知りたいという願望はどうやら人間の深奥にある本能に訴えるらしく、素粒子物理学にチャレンジしようという学生は多く、素粒子物理学は大学院進学時にも相変わらず人気がある。

 素粒子物理学は21世紀には何を目指すのだろうか。科学の発展は予想外の展開をすることが多く、予知は大変難しい。しかし敢えていえば、21世紀の素粒子物理学が目指すものは、素粒子物理学による宇宙研究の発展、素粒子物理学の社会への応用、ということになろうか。

 以下に、素粒子の発見、素粒子物理学の展開、最先端の素粒子実験、素粒子的宇宙像へ、21世紀への期待、という順で議論を行っていく。


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